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MgB2の燃焼合成に関する研究

 二ホウ化マグネシウム(MgB2)は,超電導体への転移温度が金属系超電導物質の中で最も高い39Kです.また,構成元素であるマグネシウムとボロンは自然界に多く存在するため原料コストを比較的低く抑えることができます.そのため,電子産業界を中心に応用への期待が高まっています.
 しかしながら,MgB2の生成には長時間・高コストを要します.本研究では短時間での合成が可能な燃焼合成法(Self-propagating High-temperature Synthesis)を用いて,高純度のMgB2の合成を行います.
 合成したMgB2の純度を調べるために,定量分析を行う必要があります.昨年は,炭化チタン(TiC)を用いてX線回折による定量分析の方法について検討しました.今年はその方法を用いてMgB2の定量分析を行っていきます.


燃焼合成法(Self-propagating High-temperature Synthesis)
 燃焼合成法とは,元素粉末を混合して圧縮した圧粉体試料の一端を,化学反応などにより発熱させ,その発熱反応に伴う燃焼波が試料を自己伝ぱして,材料を合成する方法です.
 主な利点としては,短時間での合成が可能で,約1000Kの温度まで到達するため不純物が蒸発し,高純度の生成物を形成しやすいなどが挙げられます.


燃焼波

X線回折
 右上図はX線回折の原理図です.射線1,2がそれぞれ原子K,Lに衝突したとすると,その経路差は次式で表されます.

 ML+LN=2dsinθ

 この経路差が波長の整数倍に等しければ,射線1,2の位相は一致します.これより次式が導かれます.

 nλ=2dsinθ

 この式はブラッグの関係式と呼ばれています.格子面間距離dは物質によって異なるため,dを調べてブラッグの関係式に代入してθを求めることにより,物質の同定が可能となります.

 右下図は本研究室で合成したMgB2のX線回折による分析結果の図です.回折角度とピーク強度から,その物質の構成成分を定性的に分析することが可能です.MgB2は,回折角度が約42.6度の時にピーク強度が最大となるため,右下図のようになります



X線回折の原理図


MgB2のX線回折による分析結果

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