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沼津工業高等専門学校 機械工学科 制御工学研究室
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実験結果

基礎実験結果

 本実験装置の、永久磁石を併用する方式についての基礎実験を行った結果を以下に示します。電磁石や電源等の環境は違いますが、力と電流、浮上高さの関係の傾向は同様であると考えます。


  • 鉄心にはM10のボルトを使用
  • エナメル線φ0.8を150回巻
  • 永久磁石は本装置と同じネオジム磁石φ10×5
  • ネオジム磁石を浮上しない重さの台座に固定し、全体の重さを電子天秤で計測して吸引力を測定
  • 電源には定電圧電源を使用し、シャント抵抗の両端電圧の差で電流を測定


 鉄心面とネオジム磁石との間隔をギャップとし、ギャップを固定して電圧を変化させたときの、吸引力の変化を測定しました。ギャップを変化させ同様の実験を繰返し、ギャップによる吸引力の変化も測定しました。

 下図より、電流の変化に対して直線的に吸引力が変化するという関係がわかります。各ギャップにおいてもその関係は成り立つといえるでしょう。この特性は電磁石で鉄球を吸引する方式の磁気浮上とは異なります。

 

 下図は上グラフのデータを、一定電流時のギャップと吸引力の関係に直したものです。このグラフからは、磁気による吸引力で一般的にいわれる、「吸引力はギャップの二乗に反比例する」関係が成り立っているといえそうです。




 下図は、電流を増加させた後減少させ、さらに逆の向きに電流を流してまたゼロに戻すという過程で電流を変化させたときの吸引力をグラフにしたものです。このグラフからは、増加させたときと減少させたときで吸引力が一致していないことがわかり、残留磁気のヒステリシスがあることがわかります。また、ギャップが小さいほど、その度合いも大きくなっていることがわかります。







 永久磁石を、鉄製のボルトに変えて、上記と同様の実験を行いました。ボルトは頭がネオジム磁石と同程度の大きさになるようなものを選んでいます。また電磁石側にネオジム磁石を取り付け、電磁石の鉄心を磁化させての実験も行いました。

 下図の"9_bolt"が前者のデータで、"9_bolt+"が後者のデータです。ギャップは9mmで測定しています。このグラフのように、電磁石で鉄球を吸引する方式の磁気浮上では、吸引力は電流の二乗に比例するという関係があるといわれています。
電磁石に永久磁石取り付けた場合は電流が余分に加えられているようなグラフとなっています。








 電磁石を、FETを使用してPWM方式で駆動した場合の、PWM-dutyと吸引力の関係を測定しました。電源の定電圧電源は、PWM-dutyが100%の時に1Aとなるように調節しています。

 下図のように、グラフは緩やかなカーブを描いており、直線的な関係ではありません。








 ホールセンサのホール電圧とギャップの関係を測定しました。

 下図のように、ギャップが大きくなるほどホール電圧は小さくなるという関係があり、直線的な関係ではありません。






実験結果

 本実験装置での実験結果を以下に示します。

 ホール電圧は0.2V程度、PWM-dutyは13%程度で浮上し、細かく振動している様子がグラフに表れています。







 下図は、本実験装置において、PWM-dutyがホール電圧に与えている影響を調べたものです。PWM-dutyが80%を超えると乾電池が電圧降下を起こし、システムがダウンするためそれ以上のデータは取れていません。PWM-dutyが40%の付近に引かれている線はプログラムで設定しているPWM-dutyの最大値です。

 グラフより、PWMがホール電圧に与える影響は、ネオジム磁石のそれと比べて十分小さいといえます。