専攻科機械・電気システム工学専攻 学生による専攻科研究と専攻科実験の紹介 本文へジャンプ
トップページ
実験
  企画・立案
  自立型ロボットの製作と制御
  風洞の設計・製作、評価
  複合実験
研究
  フレッティング疲労試験
  三次元翼周りの流れの解析
  小型試験片を用いた衝撃試験
表計算を用いた三次元翼周りの流れのシミュレーション


1.背景と目的

 翼は航空機やポンプ、コンプレッサなどを構成する主要な要素であり、流体エネルギ-を機械のエネルギ-に変換する機能を持っています。

流れの中に翼端がある場合のように、翼幅が有限で、流れの状況が翼幅方向で変化する翼は「三次元翼」と呼ばれて、そのフロ-パタ-ンは無限に長い翼幅を持った翼に相当する二次元翼型とは大きく異なります。

 本研究では、表計算ソフトを用いて、渦格子法により三次元矩形平板翼周りの流れの解析を行っています。

2.計算方法
◎渦格子法

 解析に用いる渦格子法では、翼表面を格子状に分割し各格子に渦糸とコントロールポイントを配置します。渦糸とは自身の周囲に同心円状に流れを発生させるもので、台風の'目'のイメージです。渦が強ければそれに比例して周囲の流れも速くなります。また渦糸に近い場所ほど流速は速くなります。
 翼表面の流れは、翼の置かれた流れ場の一様流速度U
と、すべての渦により誘起される速度との和で求められます。


3.解析結果
◎翼端効果

グラフは、各迎角における翼半分の各翼断面での翼幅方向の揚力係数を表しています。翼端(右端)に近づくにつれ揚力係数が低下していることが分かります。
 三次元翼の翼端は自由な空間にあるため流れの行き来が自由に行なわれます。そのため圧力の高い腹面から圧力の低い背面に流れが生じ、圧力の均等化が行われます(右下図
)。揚力は腹面と背面の圧力差から生じるので、均等化により圧力差が小さくなれば翼端での揚力は低下します。迎角が増すほど揚力つまり圧力差も大きくなるため、翼端をまわりこむ大規模な流れが発生し、揚力低下の領域が拡大していきます。
 これらは翼端が存在しない二次元翼で見られない現象です。

◎アスペクト比の影響
 矩形平板の場合、翼幅と翼弦長の比を「アスペクト比AR」といい、アスペクト比の値が大きいほど横長な翼であることを意味します。図はアスペクト比ARを変えた場合の翼幅方向の揚力係数を表しています。アスペクト比が小さく翼幅が短いときほど翼端の影響が翼の中央部にまで達していることわかります。一方、AR4000は二次元翼に近く、翼端の影響がほとんど表れていないことが分かります。


 (C) 2009 沼津高専専攻科学生