沼津高専 専攻科 機械・電気システム工学専攻機械コースの紹介 本文へジャンプ
工学教材としての利用の簡便性を考慮した小型磁気浮上装置の開発

 国は高専や大学に対して,運営費や研究の補助金を交付しています.しかし,これらは右グラフのように減少傾向にあります.同様に,学生の工学部離れも深刻化しています.また逆に,近年メカトロニクス分野の進出により,機械,電気,制御などの複数分野を学ぶことの重要性は高まっています.
 つまり教育機関は,削減される予算の中で,いかに充実した教育環境を構築するかという問題を抱えているのです.小型磁気浮上装置の研究は,この問題を改善する教育教材として着手されました.

磁気浮上機構とは?
 磁気を利用して物体を浮上する方式は,「反発型」と「吸引型」の2種類があります.
 反発型:強力な磁石同士の反発力を利用します.浮上間隔を長くとることができますが,磁石に大きなコストがかかります.
 吸引型:右図のように片方を電磁石にし,電磁石に流す電流を調整することで吸引力を調整します.コスト削減になり現実的ですが,流す電流を常に調整する必要があります.後者の「吸引型」を行うためには,流す電流を調整するための「制御」が必要なのです.



磁気浮上の機構(吸引型)

制御の方法
 電流を調整するには,浮上させる物体を「どの位の高さで浮かせたいのか」と「現在どの位の高さにあるのか」の2つの情報が必要です.この情報を得るにはセンサーを使います.
 また,例えばもっと浮上間隔を狭くしたいとき,どのくらい流す電流を大きくすればよいのかも問題になります.この電流量はコンピュータに計算させることで求めます.逆に言えば,できる限り「安いセンサー」で,また「簡単な計算」で浮上させることができれば,安くて仕組みが理解しやすい磁気浮上装置ができます. しかし,安すぎたり,計算を単純化しすぎれば,制御教材として必要な性能が保てなくなります.

研究内容
 本研究には2つの方針があります.まず,前述した「できる限り安い磁気浮上装置の製作」です.
 そしてもうひとつが「制御性能の向上と制御理論による裏付け」です.右図が現行の磁気浮上装置ですが,これが教育教材として理想的とは,制御理論と装置の挙動がぴったりと一致することです. このような装置にするための制御回路や制御方法を研究しています.


現行の磁気浮上装置

現状
 現行の装置は,センサーにホール素子,浮上物体にネオジム磁石,コンピュータにマイコンを用いて浮上に成功しています.製作費5200円程度で,重さ780g,9V乾電池1本で動作します.実際には,右の動画のように浮上します.
 しかし,問題点もあります.まず,制御回路の最適化が実施できていません.次に,浮上物体がフレームにひきつけられてしまい,傾いています.その他,理論式と装置の挙動に一致しない点があったりと,まだ改善の余地が残されています.




浮上動画

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