翼は航空機やポンプ、コンプレッサなどを構成する主要な要素であり、流体エネルギ-を機械のエネルギ-に変換する機能を持っています。
流れの中に翼端がある場合のように、翼幅が有限で、流れの状況が翼幅方向で変化する翼は「三次元翼」と呼ばれて、そのフロ-パタ-ンは無限に長い翼幅を持った翼に相当する二次元翼型とは大きく異なります。
解析に用いる渦格子法では、翼表面を格子状に分割し各格子に渦糸とコントロールポイントを配置します。渦糸とは自身の周囲に同心円状に流れを発生させるもので、台風の'目'のイメージです。渦が強ければそれに比例して周囲の流れも速くなります。また渦糸に近い場所ほど流速は速くなります。 翼表面の流れは、翼の置かれた流れ場の一様流速度Uと、すべての渦により誘起される速度との和で求められます。
グラフは、各迎角における翼半分の各翼断面での翼幅方向の揚力係数を表しています。翼端(右端)に近づくにつれ揚力係数が低下していることが分かります。 三次元翼の翼端は自由な空間にあるため流れの行き来が自由に行なわれます。そのため圧力の高い腹面から圧力の低い背面に流れが生じ、圧力の均等化が行われます(右下図)。揚力は腹面と背面の圧力差から生じるので、均等化により圧力差が小さくなれば翼端での揚力は低下します。迎角が増すほど揚力つまり圧力差も大きくなるため、翼端をまわりこむ大規模な流れが発生し、揚力低下の領域が拡大していきます。 これらは翼端が存在しない二次元翼で見られない現象です。